Commons:画像のガイドライン
ここでは『秀逸な画像』と『良質な画像』のためのガイドラインを紹介します。
ここでは全ての必要条件を満たし、かつコモンズユーザー自身が作成したものでなければなりません。「良質な画像」の目的は、画像作成時においてコモンズユーザーの技術により達成された素晴らしい品質水準を認定することであり、認定画像は後にさらに品質改善された画像が出ても「良質な画像」リストから除外されません。「秀逸な画像」と違い、「良質な画像」には同じような画像に対する枚数制限は無く、またリストから除外させるための正式な取り決めもありません。
ここでは必要条件を満たし、かつ見る者を「感動」させられるもので、コモンズユーザー自身の作品であるかどうかは問いません。「秀逸な画像」の目的は、現在数ある有用な画像の中でも最上位の画像であると認定するものです。充分な「感動要素」がありそれがその他要素を上回るなら、技術的品質が多少及ばなくても容認されますが、全体に渡って画像品質が向上されたのであれば良く似た他の画像は「秀逸な画像」リストから除外されます。ここでは通常、同じ画像の異なるバージョンが同時に「秀逸な画像」に選ばれる事はありません。オリジナルより良いバージョンがあればそのオリジナルの方はリストから除外されます。
「秀逸な画像」では、多くの投票者が「技術的には平凡でも目を見張る物を撮影した写真は、優れた技術で平凡な物を写した写真よりも、より価値の高いものである」と考えています。また、多くの投票者が「それぞれの画像は個々の価値において純粋に評価されるべきである」と考えています。例えば、技術的にはあまり優れていない重要な事件を写した写真は、技術的品質による反対と、事件の重要性が表現されている事による支持、それぞれ同数の評価を受ける事が度々あります。
その画像から人が受ける印象は人それぞれであり、慈愛、怒り、欲望、拒絶、幸福、悲しみ、様々な感情に訴えかける力を持ちますが、良い写真が見る人に与える心地よい感覚には際限がありません。
なによりも礼儀正しく。あなたが評価するその画像は他人の作品です。「これは酷い」「こういうのは嫌いだ」といったような表現は避けましょう。もしその画像に反対する時は良く考えて判断し、そして説明を付けましょう。皆が同様に英語を扱えるわけではないという事を念頭に置き、気をつけて言葉を選びましょう。
それでは良い推薦・評価であることを。そして「ルールは作り直せる」という事を覚えておいて下さい。
まずはモニター調整を[edit]
推薦された画像を評価する前にまずモニターのキャリブレーション調整をしましょう。これを行わないならば、明る過ぎたり暗過ぎたりでディティールの確認が出来ない可能性がある事に注意して下さい。また多くのTFT液晶ディスプレイは調整を行わないと僅かに赤味を帯びる傾向があります。
下の画像をフルスクリーン・全面黒背景の状態で表示してください。4つある丸のうち、3つだけ見えていれば正常です。丸が4つとも見えていれば明る過ぎ、2つ以下なら暗過ぎます。モニターの明るさ調整をして3つだけ丸が見えるように(一番左の1つだけ黒く消えるように)してください。モニターが調整されていたとしても白い背景では正しく丸が見えないかもしれません。
画像ページに必要なもの[edit]
- 著作権状況。「良質な画像」は適切なライセンスの下、著作権保持者によってコモンズにアップロードされたものでなければなりません。あらゆるライセンスに関する必要条件はCommons:コピーライト・タグを参照して下さい。
- 「良質な画像」はカテゴリー付けされ、意味のある画像名と説明文がなければいけません。鉱物に対する化学名や、動物、植物に対する分類名もこれに含まれます。
- 広告・署名・サイン等が画像に含まれていてはいけません。「良質な画像」の著作権・原作者情報は画像ページ若しくはメタデータに置き、画像そのものに干渉してはいけません。
良質な・秀逸な写真画像のために[edit]
- 画像サイズ
- 主な問題点:低解像度。
- ガイドライン:画像サイズは最低2メガピクセル(例:1,600 x 1,250 ピクセル)の情報量を目安にしてください。ただし、これを満たしてはいても安易に撮られた画像に対して、評価者はより多くを望むでしょう。
- どうして?:コモンズに置かれた画像は一般的なPCモニターで見る他に、高解像度モニターでの表示やプリントアウトして使用する等が考えられます。また将来的にどの様な機器が使われていくかも考えると、推薦された写真画像が可能な限り高い解像度である事は大切な事なのです。
- JPEG 圧縮について
- 主な問題点:デジタルカメラ機能の低画質設定での撮影されたもの、もしくは低い画質で保存された高圧縮率JPEG画像は、圧縮ノイズが目立ちます。
- 解決方法:デジタルカメラ機能の「スーパーファイン(高画質)」に設定する、.RAWフォーマットで撮影する、画像加工時にソフトウェア側で95%以上の圧縮比で保存する等、高画質設定を使用して下さい。複数回に渡ってJPEG画像を編集する際は、必ずオリジナルから編集する、一時保存はロスレス圧縮(.XCF、.PSDフォーマット等)を使用する等して下さい。編集・保存を繰り返せば画質は次第に落ちて行きます。この場合はJPEG画像を保存する時にオリジナルより高い画質(画像サイズを(2〜3倍以上に)拡大)で保存し、品質保持を図りましょう。
- ノイズ
- 主な問題点:酷いノイズ、彩度オーバー、輝度オーバー、フィルム粒子、スキャンフィルムの傷等々。
- ガイドライン:ノイズは画像を100%サイズで見た時に気にならない程度でなければなりません。
- アドバイス:ノイズを取り除くには、可能な範囲で最も低いフィルム感度を使用します。ISO200のフィルムではISO1600のフィルムより粒状感が大幅に軽減されます(デジタルカメラのISO設定も同様)。もし殆ど滅多にない状況で撮られた写真であれば、そのうち何らかのノイズ除去フィルターで改善出来るでしょう。ノイズ除去ソフトウェアは高価で集中処理が必要です。お手元に必要なソフトウェア、器材が無ければCommons:Quality images helpdeskで意見を求められます。
- 露出
- 主な問題点:露出オーバー、ハイライト潰れ、露出不足、陰影部分の黒潰れ、JPEGマップの置き換え。
- ガイドライン: 適性露出にある画像は、画像の重要な部分で細部の描写が保たれています。露出は創作目的の一助となる事を念頭に置き、このガイドラインの内容は、その画像の意図や考えに対する理解を持って評価しなければいけません。露出とはシャッタースピードとレンズ絞りとの組み合わせの事を言い、これにより画面の中で適度なディティール、ハイライト〜陰影部分の理想的な描写を可能にするトーンカーブを持った画像を作成します。このトーンカーブを ラティチュード(露光寛容度)と呼び、明部、中間部、暗部それぞれで適切なトーンカーブが出来ます。デジタルカメラ・デジタル画像のラティチュードはフィルムのそれより狭いく、またポジフィルムはネガフィルムよりラティチュードが狭いです。ディティールが黒潰れした陰影部分は必ずしも悪い要素というわけではありません。実際に効果的な黒潰れを狙う事も出来ます。広い面積において白潰れしたハイライト部分は効果的でなく、あまり好ましくはありません。
- アドバイス:デジタルカメラで撮影する際はhistogramを参照して下さい。
- 色
- 主な問題点:ホワイトバランスのズレ、色収差。
- ガイドライン:「高画質な画像」では正しい色でなければいけません。これは必ずしも自然な色を指すものではない事に留意しましょう。
- 解決方法:カラーバランスは多くの場合、GIMP等の画像編集ソフトで修正する事が可能です。必要なソフトウェア、機器がお手元に無い場合はCommons:Quality images helpdeskで意見を求める事が出来ます。また、有志が適切な編集をしてくれるかもしれません。
- 例:
- フォーカス と 被写界深度
- 主な問題点:フォーカスが適切でない、ピントが不明瞭。不充分な被写界深度。
- ガイドライン:重要な被写体は全てクッキリと写っていなければいけません。フォーカスは画面全体に渡って明確にされていなければいけません。例えば、主題の被写体にピントが合い、その前景と背景はピントが来ていない、若しくは遠近全景に渡ってフォーカスが合っている等。このガイドラインの内容も、その画像の意図や考えに対する理解を持って評価しなければいけません。被写界深度はよく意図して浅く設定されます。もし疑わしければ意見を求めましょう。被写界深度とは(ピントを合わせた)被写体の手前からその向こう側までのフォーカスに入ったエリアの事を言います。個々の写真での明確な必要性に従い被写界深度は選択されます。被写界深度は深くても浅くても画像に品質を与え、損ねる事はありません。浅い被写界深度は注意を主題に引き付けたい時に使え、注意を周囲全般から切り離す事が出来ます。深い被写界深度は空間を強調したい時に使えます。広角レンズは深い被写界深度を、反対に望遠レンズは浅い被写界深度を生じます。レンズ絞りを深くすると深い被写界深度が、逆に絞りを解放すると浅い被写界深度が得られます。
- 例:
- モーションブラー
- 主な問題点:手ぶれや被写体が動いている事により写りがブレてしまう。
- ガイドライン:高画質画像でのモーションブラーは“動き”を強調するなどの意図を持っていなければなりません。「流し撮り」とは“動き”が表現されている画像または撮影技法を指して言います。動いている被写体を普通に撮影すれば、その“動き”はブレる、若しくは静止しているかのように写りますが、どちらにしてもあまり良くはありません。「流し撮り」は表現手法であり、“動き”は画面を構成する要素の内の1つです。例えば走行中のレーシングカー画像では、車体・背景共に静止して見えるように写った写真からはスピード感や動感は伝わって来ません。なので追う様にレンズを車体に向け続ける事で、車体を静止してるように、背景がブレるように表現します。この手法をパンニング(Panning)と呼び、こうして“動感”を演出します。また別の手法、高くジャンプしたバスケットボールプレーヤーが、その他背景等と共に静止して見えるような写りは、不自然に見えても自然な瞬間を捕らえているが故に良い写真になり得ます。
- 照明
- 主な問題点:不快な光の反射(内蔵フラッシュ使用時等)、光量不足によるケラレ、内蔵フラッシュ使用時に見られる影、レンズフレア。
- ガイドライン:以外にも、通常被写体を平坦に見せるのに正面から照明を当てる事は適切ではありません。大抵の場合、横からの照明が被写体の表面の質感を良くします。ベストな自然光を得るには早朝か夕暮れ、または薄曇りの日が最適です。
- 画像編集
- 主な問題点:GIMPのようなフォトレタッチソフトには素晴らしいアーティスティックフィルターや各種機能が備わっています。ですがこれらを使用する必要はありません。コモンズの画像にとっては不利益になり得ます。
- ガイドライン:写真画像の“アラ”を補正するためのデジタル画像編集は、良い編集かつ欺く意図でない限りは一般的に歓迎されています。例えば切抜き、遠近感補正、輪郭補正、ボカシ、色合い・露出補正、背景の無駄な要素を取り除く、等がこれにあたります。広範囲に渡って手を加えた場合は画像ページにその旨を記載し、{{Retouched picture}}テンプレートを貼る等して編集された事を明らかにしなければいけません。編集された旨の記載、詳細説明無し、または説明の無い主題への編集は受け入れられません。
- 構図
- 主な問題点:主題が無い、または主題がはっきりしていない。
- ガイドライン:画面内の各要素の配置、位置関係等は主題の表現を解りやすくするものでなければならず、これを邪魔するものであってはいけません。主題の中の注目すべき部分の画像でも無い限り、主題に対してトリミング(切り取り)はすべきではありません。前景及び背景に写り込んだものは構図を壊すものであってはいけません。前景にある物が主題の重要な部分に被っていないか、背景にある物が構図を損ねていないか(例:後ろの街灯が人物の頭の上から生えているように見える、等)を確認しましょう。次に紹介するのは絵画表現で用いられる構図の一般的な手法です。まず画像に垂直線、水平線をそれぞれ二本ずつ引き、画像を縦横それぞれ3分割します。中心に置かれた主題はよく悪い例として考えられます。興味深い主題の置かれる「興味深い点」は、縦線と横線の4つある交点の内の1つになります。地平線は大体中央には位置しません、イメージを半分に別けてしまうからです。水平線は上寄りか下寄りに位置させます。セオリーでは相当理に叶った理由無く主題が真ん中に来る事はありません。 (参考:Rule of thirds)
- 歪み
- 主な問題点:画像の傾き、遠近感歪み、その他歪み。人間の目(脳)は極めて優秀であり、被写体の僅かな傾きさえ見分ける事が出来ます。傾いた樹木、ビル、水面等が風景写真を向上させる事は滅多にありません。
- ガイドライン:画像は何の意図も無く傾いていてはいけません。建築写真は通常、直線的である必要があります。遠近感歪みはそこに目的があるか、無ければ僅かでなければいけません。
- 解決方法:画像の傾きは殆どの画像編集ソフトで簡単に修正出来ます。より複雑な様々な歪みは、huginやPanorama Tools等のソフトウェアで修正する事が出来ます。お手元に必要なソフトが無い、または説明・方法が良く解らない場合は、Commons:Quality images helpdeskで意見を求める事が出来ます。また、誰かが適切な編集をしてくれるかもしれません。
-
GIMPで歪みを補正。
合成画像、パノラマ写真について[edit]
- 画像の高さ
- ガイドライン:パノラマ画像は縦800px以上の解像度を保って下さい。
- 合成
- パノラマモードでないカメラで撮られた画像を元に、デジカメに同梱されたソフトを使用して合成したのが上の画像。左側部分が暗くなっている事に注目して下さい。これは左右個別にカメラの露出設定をしたために起こってます。この場合は繋ぎ合わせる前に明るさ調整をする事で解決出来るでしょう。
- 中央の城の右側、空に縦に伸びる2本の黒い帯状のものが薄く見えます。この左側の帯と背景の丘が接している部分を見て下さい。これは合成プログラムの不良によりゴースト(丘の稜線が2重に見える)を生じさせています。またこのプログラムが繋ぎ目にフェザリング(画像の周囲部分を端へ行くに従い徐々に透明にする事で背景に馴染ませる効果)を施していますが、これは繋ぎ目を隠す一方で、フェザリングされた部分が現れ、イメージノイズが減らされ、この部分は他の(フェザリングされていない)部分よりも目立ってしまいます。
- 下の画像は別のソフトを使用しており、不具合無く合成されています。
- 明るさ
- 主な問題点:各画像同士で異なる露出、露出オーバーまたは目に見える明るさ・階調の違いによって現れる問題。
- ガイドライン:パノラマモードで撮影された写真であっても、全ての画像に用いる露出設定は最も明るい画像の最も明るい部分に合わせた露出でない限り、ハイライトは白く潰れるでしょう。
- 可能ならばパノラマモードと同様に露出アンダーに設定して下さい。パノラマモードで撮影されていない一連の写真から、ソフトウェアで露出補正を基に容易にパノラマ合成可能である事が期待できます。それまで、撮影時はパノラマエリアの最も明るい部分に合わせた露出を使用しましょう。
- ソフトウェアの合成アルゴリズムは繋ぎ目の無い合成をしますが、しかし元画像の明るさが大きく違えば元画像同士の境目はやはり目に見えます。ごく僅かな調整不備にも関わらず左図の画像にこれが見られます。
- 各画像を調整して明るさを合わせても、慎重に行わなければ階調の上限を超え、左図の雲に見られる紫や薄青部分の様なポスタリゼーション効果が起きます。
- ソフトウェアの合成アルゴリズムは繋ぎ目の無い合成をしますが、しかし元画像の明るさが大きく違えば元画像同士の境目はやはり目に見えます。ごく僅かな調整不備にも関わらず左図の画像にこれが見られます。
- ケラレ
- 合成のみのプログラムは繋ぎ目を消し、フェザリング(画像の周囲を端へ行くに従い徐々に透明にする事で背景に馴染ませる効果)を重ねて画像同士の境を滑らかにしますが、レンズ特性による周辺光量落ち“ケラレ”に対してはその必要な部分に従って明るさ調整をする必要があります。
- 左の画像は強調したケラレを除けば厳密に見て容認出来る合成です。精度の高い合成プログラムはケラレを補正し全体を均一にしますが、さほど素晴らしくない画像でも事前処理を施す事で良い結果が得られます。左図は薄く黒い筋で3つに空が別けられているのが見えます。この別けられた3カ所は左・中央・右それぞれ3枚のオリジナル画像の位置に相当します。enblendの様なソフトで繋ぎ目を自動除去したとしても、この様なケラレ線は除去出来ません。最新バージョンのhuginでケラレを補正し、または既に補正済みの画像を用いて次にenblendで合成する、という様にhuginとenblendそれぞれ使い分ける事で補正が可能です。
- 右図は薄くケラレが掛かった実例で、空部分に良く見える2本の黒い筋によって左・中・右に別れて見えます。これらも左・中・右それぞれが3枚のオリジナル画像の位置に該当します。
- 下図、空の明るさを見るとケラレが消え、色や明るさの階調が限界を超える事無く合成されています。しかし未だ空の明るさに波があり、特に左側部分によく見られます。
- 右図は薄くケラレが掛かった実例で、空部分に良く見える2本の黒い筋によって左・中・右に別れて見えます。これらも左・中・右それぞれが3枚のオリジナル画像の位置に該当します。
- カメラポジション
- 左の上下を合成した画像、撮影者は教会の下部をまず撮影し、次に上部を撮影しました。繋ぎ目が時計のすぐ下の窓辺りに見え、また建物の縦線のズレ(遠近感のズレ)が塔と中央付近に見られます。合成ソフトはカメラ位置による視線から生じる誤差のような問題へは対処せず、この様な問題を避け視差の整った写真を得るには、視点が違っても右図の様な画像を作成します。
- 元画像の並び
- 画面構成
- 主な問題点:パノラマ画像では中央での焦点が合っていない事が度々あります。もし都市部を撮影しても殆どは面白味の無い写りになりがちで、ゴミの山や街灯のような魅力の無い要素を避ける事はほぼ不可能です。